2024.07.11
with a camera in Kitakata City 3-1
喜多方市の旧国鉄日中線「熱塩駅」跡。 |
ホームや改札等が残っている。 |
喜多方市には、かつて国鉄(現在のJR)の日中線(にっちゅうせん)が走っていて、喜多方駅と熱塩(あつしお)駅が鉄道で結ばれていました。現在熱塩駅は記念館として保存されていて、木造の改札口や当時使われていた道具、客車などが残されています。いまその日中線跡の一部には両脇に桜が植えられ、春は多くの観光客が訪れます。
当時の列車が展示されている。 |
客室の中。今と比べると、背中が痛くなりそうだ。 |
その旧熱塩駅のある喜多方市熱塩加納町(あつしおかのうまち)をぶらぶらしていると、男性2人が何やら立ち話をしています。
男性2人が立ち話中。 |
何を話していたのかと言うと… |
「ここはビオトープなんですが、ここを訪れる人用に虫取り網などを入れておく箱を作った方が良いか、って話をしていたところなんです。」
ビオトープを管理している方々。 |
町中に突如現れたビオトープ。 |
ビオトープとは「野生の動植物が安定して暮らせる空間」の事で、元々休耕田だった所に2022年に用水路から水を入れて、拳1個分の高さの草を残して虫の隠れ場を作ったところ、トンボやゲンゴロウなどが棲んだり現れたりようになりました。
ビオトープの池をすくってみせてくれた。 |
ビオトープを作った事で、どじょうややご(とんぼの幼虫)など昔いた生き物が現れ始めた。 |
ビオトープの責任者は、地域おこし協力隊をきっかけに横浜から移住してきたという男性です。
「ここの自然に魅了されて、そのまま移住しちゃいました。ここから見る春の飯豊(いいで)連峰の景色も最高でね。」
「ここの自然に魅了されて、そのまま移住しちゃいました。ここから見る春の飯豊(いいで)連峰の景色も最高でね。」
ビオトープのそばに飛んでいたキイトトンボ(網の中です)。 |
横浜から移住した男性。熱塩加納町に魅せられたと言う。 |
大変だったのは、ビオトープを地元の人に理解してもらうところだったと言います。
「普通の池だと思われて『鯉はいつ放すんだ』等と言われました。でも自然の状態を再現しているので、本来いない生き物を放す訳にはいきません。大変なのは水の維持。去年は雪解け水も少なく、涸れると一部の生物は生息できないんです。」
「普通の池だと思われて『鯉はいつ放すんだ』等と言われました。でも自然の状態を再現しているので、本来いない生き物を放す訳にはいきません。大変なのは水の維持。去年は雪解け水も少なく、涸れると一部の生物は生息できないんです。」
ビオトープには、その土地の自然にいない生物を入れる事が出来ない。 |
去年は水が足らず、一部の生き物が死んでしまったと言う。 |
いまは地域の人がビオトープの意味合いを理解してくれているそう。
「こういう本来あった自然を残して、それを見に来る人、交流人口を増やしたいと思うんです。」
既に大学や珍しい生物に興味を持つ人との交流が始まっていると言います。
「こういう本来あった自然を残して、それを見に来る人、交流人口を増やしたいと思うんです。」
既に大学や珍しい生物に興味を持つ人との交流が始まっていると言います。
今は地域の人もビオトープを理解し、見守ってくれている。 |
手に載せると元気よく歩き回るので、くすぐったい。 |
「保育所や小学校の子ども達も、ここで真っ黒になって遊んでいますよ。」
中に入っちゃってもOKなんですね。
「引率する先生や大人の方が夢中になる方もいますよ。」
中に入っちゃってもOKなんですね。
「引率する先生や大人の方が夢中になる方もいますよ。」
子どもはビオトープに入って、大はしゃぎだったそう。 |
詳しいルールは、看板に書いてある。 |
ビオトープには、こんな虫もいました。
「牙の虫と書いて“ガムシ”。なぜ牙の虫と書くかと言うと、口から一本の長い牙のようなものがお腹側にまっすぐ伸びているからなんです。でもその牙を何に使うかが分かっていないんです。」
「牙の虫と書いて“ガムシ”。なぜ牙の虫と書くかと言うと、口から一本の長い牙のようなものがお腹側にまっすぐ伸びているからなんです。でもその牙を何に使うかが分かっていないんです。」
ビオトープから、ガムシを見つけた。 |
口からまっすぐ伸びる”牙”が、名前の由来。 |
熱塩加納町は、野鳥も種類が豊富です。そこで熱塩加納町で見られる“ご当地野鳥図鑑”をA3サイズ1枚に色鉛筆で描いてまとめました。
「この辺りは鳥の宝庫でもあって、鷹などの猛禽類も結構います。ノスリだったら集落ごとに見られるくらい多いんですよ。トビよりノスリが多い地域って珍しいんじゃないかな。」
このパンフレットは熱塩加納町の公民館などで入手できます。
「この辺りは鳥の宝庫でもあって、鷹などの猛禽類も結構います。ノスリだったら集落ごとに見られるくらい多いんですよ。トビよりノスリが多い地域って珍しいんじゃないかな。」
このパンフレットは熱塩加納町の公民館などで入手できます。
ビオトープには、虫を餌にする別の生き物も集まるようになる。 |
熱塩加納町の上空に飛来する野鳥の手作り”図鑑”だ。 |
「それぞれの生物は、例えば或るとんぼなら1㎞圏など、活動する範囲が決まっています。なので、その範囲内にこのビオトープが増えていくと、その生物が離れた所でも増えていくと思います。」
このビオトープは網や小さなかごが置いてあるので、すくって観察するのは自由です(但し道具も生き物も戻してください)。
このビオトープは網や小さなかごが置いてあるので、すくって観察するのは自由です(但し道具も生き物も戻してください)。
ビオトープが点在するようになれば、生き物の”回遊”が始まる。 |
ビオトープは誰でも利用する事が出来る(ルールは守ってください)。 |
そんな自然豊かな熱塩加納町では、近々里山の実地調査をし、人里への熊の出没などを防ぐ為「人獣結界」を作れないか探るそうです。実地調査は次の木曜7月18日の午後2時から、その後「酒ンポジウム」が午後5時半から~午後8時(で終わるかどうかは未定。飲まない人も参加OK)が行われるそうです。実はこの催しの締切はきのうなのですが、
自然と人間が安全に共存できるよう、地元の自然を来週観察する。 |
個人的には「酒ンポジウム」が気になる。 |
「ゴジてれを見て興味を持って下さる方がいれば、12日位までなら参加を受け付けますよ。」
と言って下さいました。興味のある方は、mirai@nowdo.comまで問い合わせてみてください。
と言って下さいました。興味のある方は、mirai@nowdo.comまで問い合わせてみてください。
前述自然観察会の申し込み締切を延長中。興味のある方は是非。 |
喜多方市内で、ビオトープを守り増やす皆さん。 |
喜多方のお勧めスポットを尋ねてみると、
「“なるみや”っていう駄菓子屋さんがあるんですが、あそこの店主は話も面白いし、駄菓子も美味しいですから、あそこが良いんじゃないかな?」
そしてこのビオトープに向かっているすぐそばに見えた「トマト販売中」という小さな看板も気になるんですが、と聞くと
「あ、私さっき買ってきました。」
という女性が。地元の人が買うなら間違いなさそうです。では早速両方行ってみます。(つづく)
「“なるみや”っていう駄菓子屋さんがあるんですが、あそこの店主は話も面白いし、駄菓子も美味しいですから、あそこが良いんじゃないかな?」
そしてこのビオトープに向かっているすぐそばに見えた「トマト販売中」という小さな看板も気になるんですが、と聞くと
「あ、私さっき買ってきました。」
という女性が。地元の人が買うなら間違いなさそうです。では早速両方行ってみます。(つづく)
”なるみや”という駄菓子屋さんをお勧め頂いた。 |
右の女性は、近くでトマトを買ってきたばかりだそう。 |
ビオトープの近くに、トマト販売所が! |
まだ販売しているようだ。 |
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